2009年03月26日

何百人の男

「ああ、なんということだ」
 男は呟いた。
 その一言で全てが壊れたかのように、男たちは次々に嘆き始める。
「なんだってこんなことに」「この国はもう終わりだ」「ああ」「どうして」「どうして女性たちだけが」「ああ、愛しの」「子どもまでが」「こんなむごたらしい」「神はどこにいるんだ!」「女性だけがかかるなんて」「ああ」「これからどうしたら」「なんのために」「もう」「苦しい」「どうして」「ご慈悲を」「墓がこんなにも」「ああ」「なんという」「もういやだ」「苦しい」「それでも」「もういっそのことみんなで死ねば」「ああ」「そんなことはだめだ」「悲しい」「つらい」「死のう」「ああ」「ダメだ、死んでどうなる」「そうだ」「ああ」「生きなければ」「ああ」「そうだ」「復興だ」「歴史を」「苦しい」「立ち上がれ」「ああ」「そうだ」「生きよう」「生きなければ」「ああ」「悲しい」「どうして」「泣いている暇はない」「ああ」「生きよう」「生き延びよう」「この国を繋げなければ」「ああ」「そうだ」「墓を守る人がいなければ」「そうだ」「ああ」「歴史を」「歴史を紡がなければ」「俺が本を書こう」「ああ」「いい考え」「生きよう」「ああ」「生きよう」「生きよう」「生き延びよう」「国を」「この国を」「歴史を」「ああ」「そうだ」「生きよう」「復興だ」「生きよう」


 何百人もの男たちが嘆き苦しみ、それから復興へのきざしを取り戻す全過程を、年端もいかぬ15,6の一人の少女が見ていた。彼女の腕には縄がかけられていた。
「ねえ、私はどうなるの!? この国で何があったのかなんとなくわかったけれど、私は隣の国の人間よ! 突然さらってきて、どうするつもりなの!? 私はちゃんと国へ帰れるの!? ねえ!!」
 彼女の叫びに、男たちは黙りこんだ。何も言わずに彼女の言葉に耳を傾け、それから。

 それぞれがそれぞれのタイミングで、にやりと汚い笑みを浮かべた。



お好みで台詞をもっと増やしてもかまわない。
二人以上出てくる話ってSSだと難しいよねとか考えてじゃあ何百人とか書こうと思った。
posted by しょこ at 12:48| Comment(0) | TrackBack(0) | SS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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