2009年03月27日

田園

 遠く、遠くまで、続いていく田園の真ん中で一人の男が死んでいた。

 いつ、男が死んだのか、定かではない。あぜ道の方で死んでいたなら発見も早まっただろうが、男は真ん中にいた。稲が伸びてくると彼の体は完全に隠れてしまい、見えなくなる。腐敗が進んで虫が湧いてくると、その辺一帯の稲が全部ダメになってしまって、そのときになってやっと男は発見されたのだった。
 警察が駆け付けて、東北の小さな村は途端にマスコミでいっぱいになった。しかし、いつまで経っても身元が判明しなかった。男は、裸のまま死んでいたからだ。慰留品も何も、見つからなかった。その村の全員に当たったが、親族や知り合いにも行方不明は一人も出ていない。そのうち事件は忘れ去られた。
 結局「あれ」がそもそも人だったのか、どこからどうやって田んぼの真ん中に行ったのかすら、定かではない。

定かではない文章。
posted by しょこ at 13:51| Comment(0) | TrackBack(0) | SS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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