2009年03月27日

 花びらが散っていく。

 私たちは地面に落ちた桜の花びらをほうきで集めていた。誰かが先生から借りてきたリヤカーで花びらをどこかへ運んでいく。みんな本当に楽しそうだった。誰かが花びらを少し取って、空に投げる。それを、誰かが笑いながら叱った。
 歩道の周りいっぱいに花びらが落ちているから、それをかき集めるだけですごい量になった。リヤカーが何往復もして、それを運んでいく。ある程度綺麗になったとき、誰かがこう言った。
「そろそろ行こうよ」
 私たちはみんなでどこかへと向かった。ゴミ捨て場に向かうのかと思ったけれどそうじゃなくて、もっと裏にある人があまり来ない場所だった。
 そこにぽっかりと地面に穴があいていてその中に桜の花びらが敷き詰められていた。リヤカーの中にはまだいっぱいの花びらがあった。
「これ、どうするの?」
 覗きこみながら、私が尋ねる。誰かが、私の背中にそっと触れた。
「決まってるじゃない。あなたを埋めるのよ」
 私が落ちると花びらが舞い上がった。その上から花びらがまた入ってくる。土がかけられる。花びらが汚れていく。

 笑い声が聞こえてくる。私はあの人たちの名前を知らない。


自分を殺した人の名前を知らない。
posted by しょこ at 13:55| Comment(0) | TrackBack(0) | SS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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