2009年03月28日

りぴーとあふたーみー

 彼女は自分で生きることをやめてしまった。
「おはよう」
 僕が起き上がり、彼女に笑いかけると、彼女も起きだして笑った。
「おはよう」
 僕が立ち上がると彼女は後ろに着いて来る。僕は無駄だとわかっているのに彼女に問いかける。
「朝ご飯、何がいい?」
 彼女は笑った。
「朝ご飯、何がいい?」

 朝食を食べるときも彼女は僕のまねをした。全く同じように動こうとする彼女。並んで同じように料理をすることにも、慣れた。そうなってしまったのは、彼女のせいじゃない。
 僕は窓の外を見ながらぽつりと言う。
「今日は、天気がいいね」
 彼女も、窓の方を向いた。
「今日も、天気がいいね」

 彼女がこうなってしまって、最初は、早口でずっとしゃべったり、わざとまねが出来ないようにいじわるなことをしたり、手を押さえつけたりしようとした。彼女はただ子供のように叫んで、辛そうに泣いた。病院に入れることもできず、僕は仕事に行くこともできなくなった。
 精神的にエネルギーを使うのか、彼女はすぐに眠ってしまうので、その間にできる在宅の仕事に切り替えた。食事に少し、病院でもらった薬も混ぜている。
 ひよこのようにずっと、僕の後ろをついてくる彼女。
 彼女は自分の意思で生きることをやめてしまった。


幼稚園のときとかやったよね。まねごっこ。怒られたけど。
posted by しょこ at 17:29| Comment(0) | TrackBack(0) | SS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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