2013年10月31日

とりっく、おあ、とりーと?

「兄さん、あの、とりっく、おあ、とりーと、です!」
 学校から家に帰ると、僕の義理の妹兼恋人の杏が。
 魔女のような真っ黒な服を来て、とことこと走ってきた。

(『キミへ贈る、ソラの花』、中條杏ちゃんのSSです!
出先なので誤字あるかもしれません、すみません。
ネタバレはあまりないですが、未プレイの方はお気をつけください!)


 10月の最終日。紅葉も始まり、夜になると急激に寒くなる。そんな季節の境目ではあるけど。
 まさか前触れもなくこんなことをされると、面食らってしまう。
「……ハロウィン?」
「そ、そうです! なので、とりっくおあとりーとです!」
 彼女は恥ずかしそうに頬を赤らめながらも、何かを期待する目で僕を見つめてきた。真黒なワンピースの裾がふわふわと揺れる。
「と、とりーとぉ……」
「えっ、お菓子!?」
「はい、そうです」
「突然言われても持ってないよ!」
 クラスメイトの甘い物大好き少女、奏菜ちゃんならまだしも、普通の男子学生はお菓子なんて持ち歩いてない。
「家に……、何かあったっけ?」
「おうちにあるのは先ほど私が隠しておきました」
「ずるい!」
 というか、ハロウィンがしたいなら事前に何か言ってくれればいいのに。今まで杏はハロウィンの飾りにもお菓子にも、全く目もくれてなかったし、しかもこんな平日のど真ん中、突然言われても困ってしまう。
「どうしよう、どこかで買ってくればいい?」
「いえ、そこまでは」
「えっと、じゃあどうすればいいかな……?」
 トリックオアトリート。ハロウィンなんてあまり馴染みのない文化だし、お菓子がないときはどうしたらいいんだ?
「いっ、……いえ、その、えっと……」杏は顔を真っ赤にして、少し俯きながら言う。「い、いたずら……してくれてもいいんですよ……?」
「えっ!?」
 い、いたずらって……。僕まで顔が熱くなった。
 いや、違うっ。違う!
「いたずらって、おどかした方がするんじゃない? お菓子をくれなきゃ、いたずらするぞ……なんだから」
「あ、そ、そうですね! そうでした! では、その……私がいたずらを……」
 杏は少し困ったように辺りを見渡す。
 いたずらか。杏はそういうのあまり僕にしてこないし、何されるんだろう……。ちょっとどきどきした。
「で、では、兄さんの靴を捨てます」
「ひどい!」
 それはいたずらじゃなくていじめだ!
「い、いえ、違います。兄さんが通学用に履いている靴、随分長く履いてるのでくたびれてきてます」
「え、ああ、それは……」
 確かに、靴底が少しすり減ってきて、新しいのを買いにいかなきゃとは思っていた。
「なので、週末新しいのを買いに行きます。そして、今の靴は捨てましょう」
「……うん」
「では、それでお願いします」
「えっ!? それ、いたずら!?」
「だ、だめでしたで、しょうか……? 勝手に決めましたし、私としては既に罪悪感でいっぱいです……」
「うーん……」
 まあそれも、杏らしくていいか。僕としてはもっと自由に、わがままの一つも言ってくれていいんだけど。
 それよりも、今は。
「かわいいね」
 黒い、ふわふわのワンピース。魔女には見えないけど、いつもと雰囲気が違って、かわいい。
「ありがとう……ございます……」
 髪を撫でてやると、幸せそうに目を細める。その表情が可愛くて、ぎゅっと抱き締めたくなる。
「ご飯っ、兄さんのために、ハロウィンスペシャルメニュー、作ってたんですよ!」
 僕の考えとは裏腹に、杏はいろいら準備をしていてくれたらしい。急かすように、僕の手を引く。
「うん、お腹空いたし、楽しみだ」
 料理も、それから、その後も。杏の手を優しく握り返す。
 来年は僕も何か着ようかな。杏より先に帰って、家にあるお菓子を隠して。

 トリックオア、トリートって。





まどマギ見てきたー!!(台無し)
ハロウィン妄想してたら止まらなくなってつい書きました。
杏ちゃんのSSです。久し振りに杏ちゃん書いたら可愛すぎて死にました。

先日の翠のSSの続き楽しみにしてくださってる方、お待たせしてすみません。
こちらは出先でスマホで書いたので勘弁してください(>_<)

翠のほうは現在執筆中ですが、前編の倍以上書いてもまだ終わりません。やらかしました。
大分長くなりそうです。つい!
楽園を終わらせたくないとも言う。
お仕事もあるのでゆっくり頑張ります!

Cabbit 第二弾!「キミへ贈る、ソラの花」応援中!
posted by しょこ at 23:40| Comment(0) | TrackBack(0) | SS・2次創作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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