2014年10月07日

あたしのお仕事

(箱庭ロジック・雨皿真奈SSです。)

あたしのお仕事
          雨皿真奈

 今日は、先生に、作文を書くように言われたので、あたしの仕事について、書きます。
 あたしの家は、喫茶店です。喫茶「仁菜」と言います。お父さんが、店長です。お父さんは、千羽市にくるまえは普通の会社員をしていました。お父さんはとってもぶあいそうです。ほとんど、喋りません。二人でいると、とっても静かです。

 でも、お父さんはとってもまじめなので、お料理も、コーヒーの淹れ方もすぐに覚えました。鶴羽学園と、梅影女学院の近くにあるので、先生たちがよく来ます。あと、近所の人もよく来てくれます。
 でも、先生たちが多く来るせいで、若い子とか、学生さんは、あんまり来てくれません。とっても寂しいです。寂しいので、若い子向けの人気メニューを、テレビや雑誌で、よく研究しています。若い子は、甘いのと、安いのと、だけどちょっとヘルシーなのが好きなはずです。なので、あたしは時々、お父さんに新メニューを提案します。だけど、全然聞き入れてもらえません。お父さんはひどい!
 だけど、最近、鶴羽学園の、きりちゃんという女の子と、新くんという男の子がよく遊びに来てくれます。きりちゃんと、新くんはいつもノートを見ながら、まじめなお話をしています。あと、今は付き合っていないみたいです。でも、このままだと、ふたりは付き合うんじゃないかと、思います。この間、恋愛はタイミングとか、いろいろだって、テレビで見ました。あたしは、恋をしたことはないけれど、タイミングで、もしかしたら、どうにかなったり、するのかなあと思います。わかんないけど。
 あと、恋愛で思い出しました。最近、昼によく来る、主婦の常連さんの、旦那さんが不倫しているらしくて、その人がずっと、お父さんに旦那さんの愚痴をいっています。お父さんは、静かに聞いています。かもくで、ぶあいそうなのが、いいみたいです。でも、「マスター、私と駆け落ちして」と娘のあたしがいる前で言うのは、やっぱり、心臓に悪いのでやめてほしいです。人生は、いろいろです。
 あたしは、彼氏ができたら、ずっと一緒にいたいし、はなれたくないです。ずっと、ぴったりくっついて、いちゃいちゃしてたいです。そんな人に、いつかめぐり会えるといいなあと思います。
 いろいろあるけれど、あたしはお勉強があんまり好きじゃないので、喫茶店のお仕事はとっても楽しいです。これからも、がんばります。

総評 「先生に言われたから書く」などと書かないように。
初歩的な漢字などがひらがなになっています。修正してください。また、作文なので一人称は「私」、お父さんではなく「父」などと書きましょう。
また、最初に自分の仕事について書くと言っているのに、実際の業務について、ほとんど書かれていません。また、「お父さんはひどい!」「わかんないけど」など、文体が砕けすぎています。内容も、友達に話すような感じで、恋愛についてが多く、内容も一貫していません。
また、原稿用紙五枚以内の課題ですが、三枚分しか書いてありません。分量も少ないです。
週末までに全て書き直し、再度提出してください。まじめにやりましょう。


       ■

「酷くない!?」
「酷いのはお前の文章力だ」
 真奈は怒りながら、自分の作文を俺と霧架に見せる。霧架も作文を見ながら頭を抱えていた。
 真奈は喫茶店で働きながら、通信制の学園に通っている。課題などは、プリントを解いて提出したりすることが多いらしい。この作文も、その課題なんだそうだ。
 なんというか……全体的に俺と同い年の子が書いたとは思えない。小学校高学年レベルというか。いや、そんなこと言ったら小学生に失礼だ。
「だって、あたしは真面目にやったのにさっ! 大体、先生にあたしが真面目にやってないとか、決めつける権利あるのっ!?」
 ……言ってることが超幼稚だった。
「でもね、真奈ちゃん。先生の言ってることももっともだと思うよ」
「なによぅ、きりちゃんは先生の味方するの?」
 いや、味方とかじゃないし。霧架もそう思ったのか、無視して続ける。
「先生が見るものなんだし、課題なんだし、真面目に書かなきゃだめっていうか……」
「頑張ったよ! 時間超掛かったもん!」
「そうじゃねえ!」なにもわかってなかった。俺は困っている霧架のために少し補足する。「気持ちっていうか、やる気っていうかさ……」
「そうっ、そうだよっ。それに、先生が読む作文に恋愛のことを書く必要はないし……ボクと新くんのことなんて書かなくても……」
「うーん、それは確かに。先生、他人だしね」
 ちょっと違うけどちょっとわかってくれたようで良かった。
「そっ、それにっ、ボクと新くんは、本当にっ、なんでもないしっ! つ、つつつつっ、付き合う……なんてっ!!」
 霧架はそう言って顔を真っ赤にしている。……こっちにも文脈に関係なく着眼点がずれている人が居た。
「えっ、そうなのっ? 絶対っ!? 男女の関係に絶対なんてないんだよっ! ……あっ、今のいい言葉じゃない? 作文に書き足そう」
「やめろ!!」
 全然話が進まない。今までの話、全然聞いてなかったな……。
「と、とにかく、先生がそれ受け取ってくれないと、単位貰えないんだろう? 大丈夫なのかい?」
「あ、それはまずい……」
 ようやく、事の重大さに気付いたようだった。そう、文句を言うのは自由だが、単位を貰えないのは困るはずだ。
「そうだっ、きりちゃんって、作文得意?」
「え? ……まあまあだと思うけど……」
「あたしの代わりに書いてくれない?」
 すげぇ最低な一言を聞いた。聞かなかったことにしたい。霧架もさすがにドン引きしたのか視線を合わせないようにしている。
「……それは、ちょっと……」
「あたし文章書くの、苦手なんだよねー。すごい時間掛かっちゃうんだ。ねえねえ、お願いー。少しでもいいからっ」
「おい、真奈……」
 マスターがキッチンからこっちを睨んでいる。……すごい形相だった。
「お願いお願いっ、そうだ、コーヒーサービスするからっ」
「真奈!!」
 喫茶「仁菜」に、普段温厚で大人しいマスターの声がこだまする。……どうやら、話を全部聞いていたようだった。
「お、お父さんっ。冗談だよっ、本気で頼んだりしないよっ」
「……こっち来い」
 ……真奈はそのままマスターに連れられて、奥の部屋へと行ってしまった。店内にはちょうど他のお客さんはおらず、俺たちだけが店に残される。マスターが静かに怒っている声が、店のほうまで響いてきた。
「真奈ちゃん、大丈夫かな……」
「放っておこう……」
 それより、マスターはしっかりした人で、本当に良かった。

       ■

 そんなわけで、わたしは、何も悪いことしてないし、お客さんとの冗談だったのに、父に、こっぴどく叱られてしまいました。こうやって、冗談を言い合ってお話しするのも、ウェイトレスの、りっぱな仕事だと思います。父はお客さんと全然話さないのに、ひどいです。
 でも、そのお陰で、こうやって、文章が少し増えたので、良かったなあと思います。喫茶「仁菜」は今日も、とっても平和です。

今週中に職員室に来なさい。


       ◆

箱庭ロジック・喫茶店のウェイトレスな雨皿真奈ちゃんSSですーっ。

本当は雫のSSを書こう書こうとしてたんですが、なんか思い浮かばなくて、
真奈が思いついたので書きました。
真奈ちゃんはとっても可愛いですー。
書いててなんか一番ほっこりするというか、そんな感じです。あたまわるいかわいい。
また、真奈ちゃんのCVは民安ともえさんにお願いしてますっ。
それも超可愛いので、良かったらサンプルボイス聞いてください〜。

発売までにもうちょっといろいろ書けたらいいなあと思ってるので、
またお付き合い頂ければと思います〜。
箱庭ロジックは10月31日発売です!

Cabbit 第三弾!
              「箱庭ロジック」応援中!
posted by しょこ at 01:51| Comment(0) | TrackBack(0) | SS・2次創作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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