2013年10月28日

終わる楽園(前篇)

 向き合わなきゃいけないと、誰かが言う。
 目を逸らすことには慣れていたはずなのに、目を瞑ればあの時の罵声が聞こえて、その中心に諦めた表情で笑う僕がいる。

 あれから二年が経つんだと、友人からの報せで知った。
 僕らの楽園が崩壊してから、二年。ここの主であったはずのみちるが屋敷を出て行ってから、もう二年が経つのか。二年。二年も……経ってしまった。僕がここに来てからは、四年くらいか。
 この場所にも終わりが近付いている。僕はそれを、ずっとなんとなく、予感していた。

(翠の海、みちるルート(16・翼広げて)終了後の、優希君中心のお話です。大変重大なネタバレ等ありますので、お気を付けてお読みください。
 また、翠の海発売から二年経っておりますので、「もう覚えてないぜ!」って方はそんなに時間も掛からないので是非再プレイをお願いします!(宣伝))

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posted by しょこ at 23:38| Comment(0) | TrackBack(0) | SS・2次創作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月23日

首が落ちる夢

 夢の中の私は、首を押さえている。まるで自分の首を絞めるように。
 そうして、その手を、放す。
 私の首は、酷く変色して、青紫色になっていて。それは映画で見た、ゾンビか何かのようで。
 そうして首だけが爛れて、いて、ついには、ちぎれるように、頭が、落ちる。
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2013年09月11日

あーん

 僕の彼女・西園奏菜ちゃんは今日も。
「えへへ〜」
 ニコニコと笑いながら、大量のパフェ、アイス、ケーキ、その他いろいろを注文し、テーブルいっぱいに広げる。
「いっただっきまーすっ」
 彼女は笑顔でそう言って、幸せそうにパフェを食べ始めた。


(18禁ゲーム「キミへ贈る、ソラの花」のヒロイン、西園奏菜(にしぞの・かんな)ちゃんの非公式SSです。
 大きなネタバレはありませんが、お読みになる際はご了承ください。)


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2013年09月08日

夢を食べる

「君の夢は本当に美味しいね」
 彼女はそう言って、朝、俺の隣でニコニコと笑った。
 対する俺は、目覚めが良くないけど。

 彼女は獏だ。バク……古代中国の伝説で、夢を食べると言われている動物。本当は人の形をした、謂わば吸血鬼みたいな生き物らしい。ただ、吸血鬼とは違い、ちゃんと生きてるし、人間と同じように死ぬ。ただ、人間と同じようには生きられない。夢を食べなければ、身体を保てないのだと、彼女はそう言っていた。身体を保てないという意味がよくわからなかったけれど、要するに死ぬと言うことらしい。
 彼女は普通に獏として生まれて、学校とかも通いながら普通に生きてきて、普通に就職して、そうして俺に出会った。
 付き合ってすぐはそのことは知らなかったけど、夜中によく家を抜け出すのでそれでおかしいと思った。問いただすと「私は獏なの」とか言い始めて、「その辺で寝てたおっさんの夢を食べてた」とか言いやがったので超怒った。「羽とかないし、人様の家に不法侵入は出来ないんだよ」とか言い始めて、しばらく喧嘩した。
 彼女の言葉を信じられなかった俺は(まあ今も到底信じられないんだけど)、とにかく一緒にいるときは外に出るのを禁じた。本当に夢を食べるとか言うなら、俺のを食べればいいと。
 その日から、「美味しい」と彼女は俺の夢を食べるようになり、俺は悪夢にうなされるようになった。
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2013年09月07日

呪いの鉄棒

 近所の公園にね、一ヶ所だけ使っちゃいけない鉄棒があるの。壊れてるとかじゃなくて、ずっと前にそこで男の子が頭を打って亡くなったんだって。それで、使用禁止って紙が張ってあるの。
 私たちの間では、呪いの鉄棒って呼ばれてて、触っただけで呪われちゃうって言われてる。触った子が事故あったとか、そういう噂もあるみたい。
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posted by しょこ at 19:29| Comment(0) | TrackBack(0) | SS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月06日

夏の終わり

 私の夏は、たった3日だけ。
 お兄ちゃんに会える、2泊3日の、たった3日だけ。

 毎年お盆になると私も含めて親戚全員が、お爺ちゃん家に集まる。お爺ちゃんの家は田舎にあって、とっても広いから、20人くらいは平気で泊まることが出来る。私も毎年お盆とお正月は、お爺ちゃんのところで過ごしていた。
 お兄ちゃんと言うのは、私のお母さんのお兄さんの息子さん……つまり、私の従兄に当たる。お兄ちゃんは私より2つ上で、今年で高校を卒業する。進路はまだ聞いていないけど、もし遠くの大学に行ってしまうのだとしたら、もう会えなくなってしまうのかもしれない。
「おう、背、伸びたな」
 お兄ちゃんは毎年、変わらない。この年になっても、お兄ちゃんは子供の時と同じように私に接してくれる。
「可愛くなったじゃんか」
「……そんなことないよ」
 言いながらも、私の胸は大きく高鳴る。
 可愛く、なったって。本当に、そう思ってくれてる……のかな。続きを読む
posted by しょこ at 23:09| Comment(2) | TrackBack(0) | SS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月04日

ハーレム

「ここにはヤンデレが3人います」
 目の前にいるメガネを掛けた幼馴染は、冷静にそう切り出した。
「危険なので今は各自部屋に監禁されています。今話している内容は、彼女たちには聞こえません。
 貴方は彼女たちに何故か愛されております。まずは経過を説明しましょう」
 俺が今いるのはリビングのような場所。けれど、それに不釣り合いな――四つの鉄の扉。多分、そのうちの三カ所は小さな部屋に繋がっていて。
 そこに、彼女たちが、いる。
「少女たちを、A、B、Cとしましょう。彼女たちは幼い頃からの親友でした。Aは、去年貴方と同じクラスでしたね。貴方に恋をしたのは、その時だったようです。
 Aは親友であるBとCに時々貴方の話をしていました。今年に入って3人は貴方と同じクラスになりました。そこからは貴方も知っていますね。貴方は彼女たちに誘われて時々遊ぶようになりました。3人の女の子の中で男は一人、しかもそれぞれが自分に想いを寄せてくれてる……それはそれは幸せだったことでしょう。
 貴方が幸せだったのと同様に、彼女たちも貴方への想いを募らせていきました。
 いいですね、ハーレム。続きを読む
posted by しょこ at 14:43| Comment(0) | TrackBack(0) | SS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月03日

電気の紐が切れた

 電気の紐が切れた。
 寝る前のことだった。電気を消そうと紐を引っ張った時に、ブチっと何か大きな音がして、電気の紐は動かなくなった。
 とりあえず眠かったので寝た。
 次の日、カーテンを開けて、なんとかして電気の蓋を開けてみる。どうやら、ヒモが中で切れてしまってるようだった。とりあえずパソコンで調べてみたら、紐は経年劣化するものだし、よくあることらしい。なんとかならないかといろいろしてみたら、わりと大事な部分らしいパーツの爪が壊れた。
「……見なかったことにしよう」
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posted by しょこ at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | SS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年07月12日

短冊

 私の願いってなんだろうと考えたら、手渡された短冊は、書けなかった。たくさんの願いが書かれた笹が私の目の前で揺れていた。可愛らしいハートマークを並べて、好きな人とのことを願う人もいれば、拙い文字で書かれた将来の夢もある。
 今の私には、どちらも、重い。
「大丈夫?」
 隣にいる友人が、私に尋ねる。彼女の短冊も、まだ白いままだ。
「行こっか」
 箱に短冊を戻し、彼女は歩き始める。私も、それに倣った。
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posted by しょこ at 21:57| Comment(0) | TrackBack(0) | SS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年02月15日

幸せを噛みしめながら、絶望に平伏せ

 2月14日。その日、俺の元に一つの小包が届いた。
 届いたとは言っても、実際に宅配業者に委託したわけではないらしい。宅配便の伝票に、宛先と名前だけ書いて、自分で持ってきて玄関に置いたようだ。
 差出人は、俺の幼馴染になっていた。

 幼馴染は何人かいるが、この包みを送ってきた少女は、その中の一人だった。彼女はうちの近くに住んでいる子で、幼いころはよく一緒に遊んだし、登下校を共にすることもあった。すごく引っ込み思案で、周りに苛められることも多くて、俺が守ってやらなきゃとどこかで思っていた。けれど、それも年と共に治まって、段々しっかりしてきて、友達もたくさん増えて……、年を重ねるうちに少しずつ疎遠になっていった。時々メールくらいはするくらいで、ついには学校も違くなった。別々の学校に通うようになって、きっと彼氏とかも出来たりするんだろうなと、なんとなく思っていた、
 2月14日、この日が何の日か、俺だって知っている。チョコレート業界は正月が終わった途端にチョコレートのCMを始め、1カ月以上に渡って、俺たち男を苦しめ続ける。もしかしたら貰えるかもしれない……そんな期待をしてしまう馬鹿な自分を、そんなわけあるはずない何度も戒めて、それでもどこかで期待している。それでいて結局当日になってみると、クラス中にチョコをばらまいている女の子からいくつか義理チョコを貰って、あと家族から貰って……それくらいで終わってしまう。
 けれど……目の前には包みがある。これは、もしかして。
 もしかして。
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posted by しょこ at 23:17| Comment(0) | TrackBack(0) | SS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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